イギリス・給料の80%補償の詳細

コロナウィルスの影響で経済の低迷が止められない今、イギリス政府は少しでも多くのビジネスを救おうと、様々な経済支援策を発表しました。

 

HMRCのサイトがアップデートされて、リンクがまとめられ見やすくなっています。

Financial support for businesses during coronavirus (COVID-19)

Business Support

Coronavirus Job Retention scheme

Self Employed Income Support Scheme

様々な支援がありますが、ここでは個人に関係のある支援策を紹介します。

 

Job Retention Scheme

「イギリスでは給料の80%を国が補償してくれる」と日本のメディアで話題になっているのがこのJob Retention Schemeです。とてもありがたい支援策ですが、様々な条件があるので、誰もが80%を補償してもらえるわけではありません。そもそも個人が申請するものではありません。

簡単にいうと「企業が従業員を解雇しなくてもいいように、仕事をしていない従業員の給料の80%を補償する」というものです。80%が直接個人に支払われるわけではなく、企業が申請してお金を受け取り、給料の支払いをするというシステムです。補償される80%だけ支払うか、20%を企業が上乗せし100%払うのかは各企業が決めます。

現在のところ期間は3月1日~5月31日の3カ月、コロナの状況によっては延長の可能性もあるそうです。

*4月17日アップデート – 6月30日までの4カ月に延長されました。

*5月12日アップデート – 10月31日まで延長されることが発表されました。但し、8月1日からは徐々に仕事に復帰させるように変わっていくということで、詳細は5月中に改めて発表されます。

*5月29日アップデート – 前回のアップデートの8月1日からではなく、7月1日から徐々に仕事に復帰させていくように変わります。詳しくは別記事にします。

申請可能な企業

  • UK企業
  • PAYE Payrollのシステム(2月28日時点)
  • UKの銀行口座がある

企業の条件は難しくありません。イギリスのシステムに則って従業員の給料を払い、税金をおさめていれば大丈夫です。発表は3月20日でしたが、3月1日に遡って申請することが可能です。「お金が入ってくるなら従業員を解雇しなくてもよかった」という企業もあると思うので、3月1日以降に解雇された人は、会社と相談して雇いなおしてもらうことも可能です。申請するサイトは、4月20日の週にできるらしいので、それまでに必要なものを準備しておきます。

申請に必要なもの

  • PAYE reference number
  • Furloughになる従業員の人数 (下記参照)
  • 申請期間
  • 合計金額
  • 銀行口座
  • 担当者の名前と電話番号

対象になる従業員

  • Furloughed Worker (下記参照)
  • Furlough後も雇用が続く予定
  • 2月28日の時点で、PAYE payrollに載っているいる。
  • 3月19日までにRTIを提出している (4月17日アップデート!)
  • フルタイム・パートタイム・コントラクトなど雇用形態は様々
  • 同居人がコロナ感染者のため一緒に隔離されていて仕事をしていない人

*2月28日より後に解雇された人の解雇をとりやめてFurloughed Workerにすることが可能

**4月17日アップデート – 今まで2月28日までにということでしたが、3月19日までにRTIを提出していればFurloughの対象者になります。月末に給料を支払う会社は、RTIのサブミッションは19日以降が多いと思いますが、週給の人やタイミングによっては対象になるでしょう。20日から申請サイトができるので、既に申請金額を計算している会社も多く、あまりにもギリギリで遅いような気がしますが、ひとりでも多く救われるといいです。

 

対象にならない従業員

  • 2月28日より後に雇われた人で3月19日までにHMRCに報告されていない人
  • 2月28日以前にUnpaid Leaveになった人
  • 通常通り働いている人
  • 通常より時間を減らして働いているいる人
  • 病気又は隔離中の人 – Statutory Sick Pay (SSP)を申請
  • 出産・育児休暇中の人 – Statutory Maternity Pay (SMP)など申請

*仕事を始めたのが3月1日以降の人は対象にならないので、通常の給料を支払うか、会社によってはUnpaid Leaveや解雇、または、経営が落ち着いたら戻ってきてもらうということになるかもしれません。

**病欠後・育児休暇後にFurloughed Workerになることができます。

Furloughed Worker

一時的に会社の都合で休みとなる従業員です。Furloughの後に、会社に復帰することが前提となります。但し、この期間に解雇となる場合は、雇用契約に沿って解雇手続きをします。

Furlough期間は、雇われている会社の仕事はしてはいけません。但し、Directorの場合は、法的に必要な範囲の仕事はしてもかまいません。

雇用主が対象になる従業員を選択し、書面で合意、5年間記録を保存する必要があります。選ばれた従業員は、拒否することも可能ですが、その場合、解雇される可能性が高いでしょう。

レストランやホテルなどがコロナの影響で閉鎖の場合、現場のスタッフ全員がFurloughになる可能性が高いですが、会社が開いている場合は、交代でFurloughになる可能性もあります。各企業が決定します。

申請金額

Furlough対象の従業員ひとりずつ計算し合計します。

申請するのは次のいずれかの低い方

  • 給料の80%
  • £2,500 per month (Gross)

月額£2,500というのはGross (額面)で年収£30k です。年収£37.5kの80%が£30kなので、年収£37.5k以上の場合は一律£2,500。

申請する金額は、給料の80%又は£2,500にEmployer’s NIとminimum Employer’s Pensionを加えたものです。£2,500の場合は、約£2,800になります。NIとPension は通常通り支払いをします。

申請は3週間に1度することが可能です。期間内に何度も申請できますが、申請する度に金額を計算します。Furlough になる従業員は、3週間のFurlough後、仕事に戻り、また3週間以上Furloughになることも可能です。各企業がウィルスの蔓延と政府の外出制限の状況によって判断します。

 

従業員の手取り

従業員の受け取る金額は、会社によって違います。景気が良く良心的な会社は、20%を会社が負担し通常の給料を払ってくれるでしょう。しかし、多くの会社は、先が見えないこの状況で、仕事を一切しない従業員の給料20%を支払うのも辛いので、補償される80%又は£2,500になるでしょう。

100%支払われる場合は、いつもと同様の給料が支払われますが、気になるのは80%もしくは£2,500の場合です。

£2,5000はGrossなので、ここからIncome Tax、NIC、Pension、Loanなどが引かれます。個人の状況(Salary, Personal Allowance, Pension, Loan, Other benefits etc)により手取りの金額は変わるので、おおまかな目安ぐらいしか出せません。

  • 給料の80%の場合 – 通常の手取りの80%+
  • £2,500 - c£1,900 ここからPension やLoanなどが引かれた額

基本となる給料

  • 固定給の場合- 2月の給料
  • 固定でない場合 – 前年の同じ月または2019-2020の平均のどちらかの高い方

問題点

よくできた制度だとは思いますが、全ての人にいきわたるわけではありません。

3月に入ってから新しい仕事を始めた人は対象外になり、せっかく始めた仕事を辞めなければならない人も多くいます。前の会社に2月28日までいて、円満に退社している場合は、前の会社に相談して、コロナが収まるまでの間、Furloughとして雇用継続してもらうということもできるようですが、そうしてもらえる人は決して多くはないでしょう。また既に退職願を出している場合も、難しいようです。本当にタイミングが悪くて気の毒だとは思いますが、政府としては、不正防止のためにはどこかで区切らなければいけません。

DirectorもPAYE payrollに載っていれば、Furloughとしての申請はできますが、Dividendで得ている収入の分は対象外になります。

4月20日に、GOV.UKにアップされる専用のサイトで申請ができるようになります。今のところの予定では、申請後4-6 Working Daysで振り込みがされるようです。但し、サイトが混雑してアクセスできないとか、振り込みが遅れるなどは、想定しておいた方が良いでしょう。会社によっては、この支援金が入金されないと、従業員の給料が払えないということも考えられます。

*4月20日アップデート!

  • 申請するサイト – ここをよく読み、下の方にあるClaim Nowをクリックし情報を入力します。
  • 申請の前に計算 – 従業員ひとりひとり計算します。

Self Employed Income Support Scheme

こちらはSelf Employed (自営業)向けのサポートです。あくまで個人用で、会社を設立している方は、例え社員一人でもJob Retention Schemeの対象になります。

財務大臣リシ・スナクによると約95%のSelf Employedの人が対象になるようです。

対象になる人

  • 2018-2019のIncome Tax Self Assessment tax returnを提出している
  • 2019-2020に仕事を継続している
  • 2020-2021も継続する予定
  • COVID 19 の影響で損失がある
  • 2018-2019のProfit(利益)又は2016年からの3年間の平均Profitが£50k以下の人

基本的には、1月31日にIncome Tax Self Assessment Tax Returnを提出している方ですが、まだの人は4月23日までに提出すれば大丈夫です。期間を延長してくれて本当に親切です。

こちらも80%もしくは£2,500pmですが、過去3年間のProfit (利益)の平均の80%です。Income (収入)ではありません。3年に満たない人は、その期間の平均になります。

残念ながら最近Self Employedになった人は対象外となります。

申請方法

対象者にはHMRCが連絡するので、HMRCに無駄に電話をしないようにということです。HMRCから申請方法の連絡がきたら、それに従います。3月1日~5月31日の3カ月分まとめて一括払いということですが、もしかしたら、仕事の状況や申請期間を入力するのかもしれません。振り込まれるのは、今のところ6月の予定ですが遅れる可能性はゼロではありません。

*5月4日アップデート!(予定よりかなり早いです!)

  • 5月4日から対象者にHMRCから何日から申請できるか連絡がくる
  • 5月13日から申請サイトで受付開始
  • 申請が通った場合は、6working day以内に銀行にお金が降りこまれる

振り込みまで2ヵ月以上あるので、その間にお金が必要な人は、Universal Creditを申請することができます。こちらは平常時よりも申請が簡単になっていて、金額も増えているということです。但し、3月末には申し込みが殺到して、サイトがダウンしてしまったという話。

Job Retention Scheme同様に、コロナの状況によっては3カ月以上延長される可能性があります。

*5月29日アップデート – 8月31日まで延長されることになりました!3カ月分の申請は8月にまとめて!

最後に

いくつかの国で現金一括払いなどをしているようですが、この先どのぐらい続くのかわからない状況で、会社がなくならなければ、毎月ある程度の収入が確保されているということは本当にありがたいことです。3カ月後も延長といいながら、予算が足りなくなって延長にはないかもしれませんが、3カ月でもかなり助かります。

また悪徳企業や日本でいうところの「夜の街」のように、従業員数や給料をごまかしたり、Self Employedで常日頃申請するProfitを抑えている場合は、それに見合った支援しか受けれません。しっかり税金を納めていないと、イザという時に困るということが証明される良い政策ですね。

下に必要なサイトをまとめたので、詳しいことはそちらを読んでください。

 

GOV.UKhttps://www.gov.uk/government/collections/financial-support-for-businesses-during-coronavirus-covid-19
Business Supporthttps://www.businesssupport.gov.uk/coronavirus/
JRS
Employer
https://www.gov.uk/guidance/claim-for-wage-costs-through-the-coronavirus-job-retention-scheme
JRS
Employee
https://www.gov.uk/guidance/check-if-you-could-be-covered-by-the-coronavirus-job-retention-scheme
SEISS
self-employed
https://www.gov.uk/guidance/claim-a-grant-through-the-coronavirus-covid-19-self-employment-income-support-scheme
SSPhttps://www.gov.uk/statutory-sick-pay
SMPhttps://www.gov.uk/maternity-pay-leave/pay
Redundancy https://www.gov.uk/redundancy-your-rights/redundancy-pay
Universal Credithttps://www.gov.uk/universal-credit