ジャーナリストの街の激うまフィッシュ&チップス

シティの西の外れにあるジャーナリストの街・フリート・ストリート (Fleet Street) とめちゃめちゃ美味しいフィッシュ&チップスを紹介します。

フリート・ストリート (Fleet Street)

フリート・ストリートは16世紀初めから出版・印刷業で栄えました。当時の主な出版物は、法律文書、舞台の台本などでしたが、1702年にロンドン初の新聞が刊行され、多くの新聞社・出版社がフリート・ストリートにオフィスを構えるようになり、400年もの間イギリスのジャーナリズムの中心となっていました。しかし、1980年代後半になると、ロンドンの物価上昇により、新聞社は次々に郊外に移ってしまいますが、現在でもフリート・ストリートは出版業の代名詞となっています。

フリート・ストリートはシティの東の外れにあり、ローマの時代に円形劇場があったという記録が残っていますし、現在ジャーナリストの教会と言われるセント・ブライズ教会 (St Bride’s Church) はサクソン時代の6世紀に建てられたといいます。名前の由来は、ロンドン北部のハムステッドから現在のカムデンやキングスクロスを抜けてテムズ川に流れていたフリート川です。13世紀にはフリート・ブリッジ・ストリートと呼ばれ、14世紀に現在のフリート・ストリートになったようです。川の名前が由来ということは、この辺りは、船が着く重要な場所だったと想像えきます。貿易と教会とで栄えて行ったのでしょう。

この頃には、多くの聖職者がこの地に住んでいたようです。『カンタベリー物語』で有名な詩人のジェフリー・チョーサーが、聖職者を攻撃して罰金を払った記録も残っています。

また14世紀初めには、既に多くのタバーン (Tavern 居酒屋)や売春宿などもあり、16世紀には、タバーンに多くの作家・詩人が集うようになったのも、出版・印刷業が発展するのに繋がったのでしょう。

オールド・チェシャー・チーズ (Ye Olde Cheshire Cheese)

1538年に、フリートストリート145番地に建てられたパブです。最初の建物は1666年のロンドン大火の被害に遭いましたが、すぐに再建され、現在も17世紀にタイムスリップしたように残っています。

ここは文化人の集う場所として知られ、チャールズ・ディケンズ、サミュエル・ジョンソン、アーサー・コナン・ドイル、マーク・ウェインなども常連だったようです。たくさんの作家が集まっているので、いろいろな作品の舞台にもなっています。例えば、アガサ・クリスティーのエルキュール・ポアロが『百万ドル債券盗難事件 (The Million Dollar Bond Robbery)』の中でクライアントと食事をしているのがこのパブです。またロシア・アバンギャルドの作家・ボリス・ピリニャークは1923年にロンドンに滞在した後『старый сыр (= Old Cheese)』という本を書いたようです。

パブの入り口は、フリート・ストリートではなく、ワイン・オフィス・コート (Wine Office Court) というめちゃめちゃ細い通りをちょっと入ったところにあります。お向かいのテイクアウェイのお店のにおいがすさまじいですが、ちょっと我慢して歩きます。

中に入ってすぐ右側には、狭い部屋があり冬場は暖炉が点いています。のどの弱い方は、冬場は避けた方が良いでしょう。上の写真は入って左側にあるメインのダイニングルームで、古い天井が残っています。その奥は、もともとワインセラーだったようですが、今はそちらで食事もできます。また左右の部屋に入らずに、もっと奥に進んで行くと別な広い部屋があります。わりと普通のパブですが、天井の一部がガラス張りになっていて陽がさしているので、他の部屋と違って明るいです。上にも部屋がありますが、入ったことはありません。

さて、ここで私が紹介したいのは、フィッシュ&チップスです。ロンドンに観光で来て1度はパブでフィッシュ&チップスを食べたいと思っている人は、ここをおすすめします。激ウマです!

この20年ぐらい、ロンドンにはレストランやカフェがどんどん増えていますが、かわりに昔ながらのイギリス料理のレストランやグリーシースプーン、フィッシュ&チップスのテイクアウェイは減っていて、観光地のバンとかマーケット、そしてパブで食べるぐらいになってきました。

イギリスは何を食べてもまずいと言われていますが、もともとチップスは、どこのお店でもかなりホクホクしておいしかったです。チップスはイギリスが1番だと私は思っていました。但し、いろいろなお店が増え、フランスやベルギーのような、貧弱なチップスが増えてきて、そちらはあまりおいしくありません。

魚のフライは当たりハズレが多く、すご~くおいしいのを見つけるのは難しかったです。タラ自体は日本よりもプリプリ・フワフワしておいしかったのですが、なんといってもここはイギリス。昔はほとんどのお店は下ごしらえをせず、いきなり揚げてますから味がありません。最近は下ごしらえをしているお店も多いですが、逆に塩が多過ぎるところもあります。また油が古いことも多いので、そういうお店は1度行ったらもう行きません。でもたまに、めちゃおいしいお店があり、91年に住んでいたケンサル・ライズの家の近所のテイクアウェイのお店は、死ぬほどおいしかったです。

この10年ぐらいでは、何年か前にソーホーにあったお気に入りのお店がなくなってから、どこに行ってもいまひとつ足りない感じがありましたが、このオールド・チェシャー・チーズのフィッシュ&チップスは本当においしいです。衣はサクッとしていて、お魚はしっとり・プリっとして、口の中でとろける感じ。こんなおいしいフィッシュ&チップス、いつ食べたかしらというぐらいの感動でした。

フィッシュ&チップスについている『エクソシスト』を彷彿させる緑色の物体は‘ムシー・ピーズ ‘Mushy Peas’といいます。カタカナで‘マシー’にする人もいるようですが、ムシー・ピーズが人気の北部の人達のMushyの発音はムシーに聞こえます。これは豆をつぶしたものです。基本的に味はなく、一般的に日本人には不評ですが、イギリス北部の人達にはムシー・ピーズのないフィッシュ&チップスは、70年代日本風にいうと「クリープのないコーヒー」のようなもののようです。特においしいわけでもなく、魚ともチップスとも相性が良いと、私は思えないのですが、パブによってムシー・ピーズではなく、グリーンピースがついてくるとかなりガッカリします。これもアフタヌーンティーのキュウリのサンドイッチ同様、イギリスの味なのでしょう。

ムシー・ピーズは食べても食べなくても良いですが、魚のフライは本当においしいので、ロンドンでフィッシュ&チップスを是非1度と思っている方は、是非、歴史あるこのパブに!

但し、これはどのレストランにも言えますが、シェフやオーナーが変わると、味は変わってしまいます。次に行く時に、前回と同じ味かどうかは、私もわかりません。

セント・ブライズ教会 (St Bride’s Church)

ジャーナリストの教会と呼ばれる教会ですが、ローリング・ストーンズを好きな人には、ジェリー・ホールが結婚式を挙げた教会として有名です。といっても、ミック・ジャガーとの結婚式ではなく、ミックと別れてしばらく経った2016年に25歳年上のルパート・マードックとの結婚式です。メディア界の大御所にふさわしい教会です。

この地には、6世紀に最初の教会があり、何度か建て替えられて、現在の建物は7番目ということです。17世紀のロンドン大火で焼けてしまった後、クリストファー・レンのデザインで再建され、その後も建て替えはされていますが、レンのデザインを維持しているそうです。

また、第二次世界大戦中ドイツの爆撃で破壊された後は、新聞社やジャーナリストが費用を出して再建されました。その時に、6世紀のオリジナルの教会の遺跡が発掘され、現在、教会の地下には中世のチャペルと博物館があり、一般公開されています。教会の中も美しいですが、地下の見学も忘れずに。

交通手段

 

地下鉄・電車

 

ここで紹介したフリート・ストリートの東側への地下鉄最寄駅はサークル・ラインとぢスト・ラインが通るブラック・フライアーズ (Blackfirars)です。ウェストミンスターとタワーヒルの途中にあります。またテムズリンクとサウスイースタンの電車の駅は橋になっています。

シティ・テムズ・リンクの駅はもっと近いので、キングスクロスから行く方は、そちらが便利です。

 

バス

 

バスはたくさん通っていて、トラファルガー広場からセント・ポールまでは見所が多いので、バスの2階に乗って、景色を眺めながら行くのがおすすめです。

4、11、15、26、76番のバスがセント・ポールとフリート・ストリートを結んでいます。11と15番はトラファルガー広場に、4、26、76番はウォータールーに行くので、観光の予定に合わせて利用してください。

*頻繁にではありませんが、バスは路線変更になることがあります。

 

徒歩

 

ラファルガー広場からセント・ポール大聖堂まで、徒歩で約30分です。オールド・チェシャー・チーズはその真ん中ややセント・ポール寄りにあります。歩くのが好きで時間がある方は、いろいろ見ながら歩いて行くのも良いでしょう。

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